泣き顔に甘いキス
それは私が顔を人に褒められる言葉よりも多く言われてきた言葉が原因だ。
「何か辛いことあったの?」
私の顔を見た人は、大抵こう聞いて来る。
垂れ下がっているまゆ。少し大きめのたれ目。
この二つのパーツのせいで、私は常に泣き顔だ。
人が泣きだすようなときの顔。
いくらまゆを書いても、目に濃くアイラインを引いても全く変わらない泣き顔。
鏡で、いつ見ても悲しい顔を浮かべている私。
そのせいか周りはいつも私を腫れもののように扱ってきた。
心は浮かれていて楽しいのに、顔は悲しい顔。
だから友達にも散々気を遣わせてきてしまった。
時には男子にからかわれることもあった。
時には友達が怒ってしまったこともあった。