これが私の王子様

 確かに、あのような生活を送っているのだから、心配されても仕方ない。

 定期的にハナがやって来なければ、どのような生活をしているか、わかったものではない。下手したら、ゴミの中に沈む。

 次々と悪い部分を指摘していく雅之に対し、和人は反射的に父親から視線を逸らしてしまう。

 勿論、自覚はしている。

 しかし、面倒なものは面倒。

 だから、掃除は行わない。

 料理も作れない。

 息子の言葉に、雅之は嘆息してしまう。

 雅之は相手を見極め――と言っていたが、息子の言動から「家庭的な女性」を選ばないといけないと考える。

 家庭的な女性でなければ、和人と上手くやっていくことができない。

 それにいつまでも、祖母には頼っていられない。

 本当なら自分で自分のことをやらないといけないのだが、いかんせん和人は面倒と考えている。

 それならそれを行ってくれる女性――と期待してしまうが、まるで家政婦を捜すようなもの。

 そんなに、都合のいい相手はいない。
< 105 / 211 >

この作品をシェア

pagetop