これが私の王子様

 そう思えなくもないが、和人は将来巨大グループを継ぐ身。

 一生独身というわけにもいかず、伴侶を向かえないといけない。

 それに何より、一人のままにしておくのは危険すぎる。

 興味を持った相手を見極め、和人の恋人――というより、支えてくれる人物か知りたかった。

 だからこそ、雅之は真剣になる。

「和人」

「何?」

「自宅に連れてこい」

「誰を?」

「お前が興味を持っている者だ」

「いつ?」

「来週の日曜だ」

「早くない?」

「そんなことはない」

 こうなると、和人に拒否権はない。

 父親が言うように、来週の日曜日にゆかを実家に連れて行かないと、後で何を言われるかわかったものではない。

 だが、どのように切り出せばいいか、そちらの方が問題だった。
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