これが私の王子様

「何、料理のこと?」

「それとは違う」

「なら、何?」

「水沢さんを呼んで欲しいんだ」

「いいけど」

「詳しくは……」

「言えないこと?」

「まあ……ね」

 詩織の本音では「どうして、和人がゆかを呼ぶか」を知りたいが、和人が真剣な面持ちをして
いるので、聞くことはしない。

 言葉が悪く失礼な部分も目立つが、こういう部分で空気を読むのは上手い。

「待っていて」

「悪い」

「場所は、屋上でいい?」

「ああ」

 和人の言葉を聞いた詩織は、普段授業を受けているクラスへ戻って行く。一方和人は、詩織が指定した屋上へと向かう。

 勿論、その間も黄色い悲鳴が響く。
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