これが私の王子様
「何……かしら」
「制服よ」
詩織の話にゆかは、転校以前のクラスメイトの言葉を思い出す。
この学校に転校すると決まった時は、クラスメイトから「あの可愛い制服を着られ、羨ましい」と、何度も言われた。
確かに着ている制服は目を引くデザインで、細部までこだわって作られているのがわかる。
そしてもうひとつ、話題に上がったのは――
通う女子生徒のレベルの高さ。
確かに廊下でお喋りをしている女子生徒の殆どが、美人で可愛らしい。
一部の女子生徒は化粧をしており、まるで有名ファッション雑誌の読者モデルのような雰囲気を漂わせている。
「菅生さん」
「詩織でいいわよ」
「詩織さん」
「さんもいらないわ」
「し、詩織」
「何かしら」
「皆、この制服を着たいのかしら」