これが私の王子様

「勿論、多いわよ。という私が、その一人だったりするもの。試験に合格する為に、勉強したもの」

「そうなんだ」

「いまどき制服で学校を選ぶ人なんて、珍しくないわよ。可愛い制服は、多くの生徒の憧れだもの」

「私は、たまたま……」

「でも、着られて良かったでしょ」

「うん」

 詩織の説明に、ゆかは改めて自分が凄い学校に転校してきたと知る。同時に、妙な緊張感が湧き出してくる。

 自分は、大丈夫か。

 上手くやっていけるか。

 周囲に可愛い子ばかりで、思わず自分と比較してしまう。

 ふとその時、廊下で会話をしていた女子生徒達が一斉に騒ぎ出す。

 誰もが窓の外を覗き見、黄色い悲鳴を上げている。先程とは対照的な行動にゆかは、詩織に何が起きたのか尋ねた。

「例の王子様よ」

「それって、詩織が言っていた……」

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