これが私の王子様
仕方ない。
これが、和人の気持ちだった。
午後の授業中、ゆかは何気なく窓の外を眺める。
校庭には、多くの生徒が溢れていた。
それを見たゆかは、和人のクラスが体育の授業を行っていることを思い出す。
和人は成績優秀の他、スポーツ万能。
マラソンで、苦労することはない。
校庭に、黄色い悲鳴が響く。
その声音は教室で授業を受けている生徒の耳にも届き、多くの女子生徒が手を止め見入る。
かっこいい。
やっぱり、凄い。
早い。
等々、褒め言葉が続く。
彼女達の言葉を聞きながら、和人の姿を凝視する。
マラソンが苦手なので、これほど早く走れるのは羨ましい。
特に持久力が乏しく、途中でいつもバテてしまい、完走するのがやっとだ。