これが私の王子様
しかし、和人は違う。
現在和人の横を並んで走っているのは薫だろうか、後方とかなりの距離を開いている。
このペースで走り続けるのだから、相当な持久力である。部活で野球をやっている薫ならわかるが、和人は帰宅部。
他で鍛えているのか。
それとも、生まれ持ってのモノか。
改めてゆかは、和人の凄さを知る。
自分とは、明らかに違い過ぎる。
その差を明確に感じた今、溜息しか漏れない。
ゆかは窓から視線を外すと、黒板に書かれている文字を眺める。
外を眺めていた為に、殆どノートに写していなかった。
だが、授業そっちのけで和人を応援している生徒に呆れてしまったのだろう、教師は黒板に書く手を止め、椅子に腰掛け休憩している。
どうやらこうなると何を言っても無駄と、理解しているようだ。
その隙を見て、せっせとノートを写していくが、何か思うことがあったのだろう手が止まってしまう。
「ゆか?」
「えっ!」