これが私の王子様

「どうしたの?」

「ちょっと……ね」

 言葉をはぐらかすゆかに、詩織は周囲の様子を確認した後、小声で和人に呼ばれたことが関係しているのか尋ねる。

 勿論、それが大いに関係していたが、いくら詩織とはいえ日曜日の件を話すことはできなかった。

 ただ、唯一話すことができるのは、和人と携帯番号とメールアドレスを交換したということ。

 それを聞いた詩織は驚きを隠せず、和人自身からそのようなお願いをするのは珍しいと伝える。

「そうなの?」

「そうよ。一体、何人が断られたと思っているの。それについては、絶対に内緒にしておくこと」

「……結城君、そんなこと一言も……それに知っていた方が、連絡に便利だって言っていたわ」

「ひとつ、教えてあげる」

「何?」

「結城君の携帯番号とメールアドレスを知っているのは、本当にごく一部なの。私以外だと、大久保君と七瀬君ね。あとは、連絡の都合って感じで、担任が知っているくらいかしら」
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