これが私の王子様
「そう、ここ青藍(せいらん)高校の有名人」
「三人いるけど」
「二人は、王子様の友人。ちなみに三人とも、同じ二年生よ。で、右側の短髪でちょっと不良っぽい生徒は、七瀬薫(ななせかおる)。野球部のエースピッチャーで、プロのスカウトが注目しているみたい」
詩織の説明にゆかは、頷きながら聞き入る。その間も、女子生徒達の黄色い悲鳴は続いていた。
「次に左側の眼鏡をかけた生徒は、大久保直樹(おおくぼなおき)。常にある生徒と学年トップを争っている、とーっても頭がいい生徒よ。将来は研究者志望で、大学院を目指しているみたい。これは本人から聞いたから、間違いないわ」
「……凄い」
「真面目すぎて融通が利かないっていうのが、唯一の難点かしら。あんなことで、怒らないでよ」
「何かあったの?」
「この前のテスト、点数が悪かったのよ。で、大久保君に「再テストを言い渡されたから、返されたテストを見せて」と言ったら、怒られたのよ」
「それ、わかるかもしれない。やっぱりきちんと自分で勉強をしないと、覚えられないもの」