これが私の王子様

「答えられる範囲で……」

「どうして、料理が作れるのかな」

「昔から母の手伝いをしていて、一緒に作るのが面白かったから。それに、作った料理を美味し
いって言ってくれて……」

「で、上手くなった」

「はい」

 ゆかは、細々とした仕事をするのは嫌いではない。それに、ひとつの事を継続して行うことができる。

 一番の理由は「美味しい料理を作ると、喜んでくれる」だろう。

 だから少しでも美味しく作ろうと努力し、レシピの研究に余念がない。

 その結果、ゆかは数多くの料理を作ることができる。

「どんな料理も?」

「外国の珍しい料理は、ちょっと……」

「なら、定番料理は?」

「作れます」

 ゆかの発言に和人は「そうなんだ」と、呟く。

 その意味を知らないゆかは、特に反応を示さない。

 だが、運転している勤は裏に隠されている心情を読み取ったらしく、口許を緩めていた。
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