これが私の王子様
「そう」
「水沢ゆかです。は、はじめまして」
「さあ、座りなさい」
「はい」
雅之の言葉に、ゆかは畳の上に置かれている座布団に正座する。
一方、和人は父親の横に腰を下ろすが、正座することなく胡坐。
だらしない姿に雅之は和人の脚を叩くと、正座するように促す。
父親の指摘に、渋々正座を行う。
息子が正座したことに雅之は「それでいい」と言いながら、背中を叩く。
「息子が世話になっている」
「い、いえ……私の方が……」
「料理を作ると聞いた」
「それは、結城君が作ってほしいと……」
「そう、水沢さんは料理が上手いんだ。この前貰ったクッキーは、婆ちゃんも褒めていたし」
ハナが褒めていたということに、雅之は感心する。
ハナもまた、料理が上手い。
そのような人物が褒めているのだから、相当の腕前といっていい。
ゆかの料理に雅之も興味を持ったのか、どういう料理を作るのか尋ねる。