これが私の王子様
雅之の質問にゆかは、今日の献立を説明していく。
勿論、三人前で作ると――
「三人前?」
「結城君に、頼まれまして……」
「お前は相変わらず、大食いだな」
「い、いいじゃないか」
「身体を壊すな」
「大丈夫。鉄の胃袋だから」
そう語る息子に、雅之は苦笑しかできない。
この親子にとって普通のやり取りであっても、ゆかにとっては普通では済まされない内容が含まれていた。
大食い。
鉄の胃袋。
王子様と呼ばれている人物から想像することができない単語に、ゆかはキョトンっとしてしまう。
「言っていないのか?」
ゆかの反応を見た雅之は、そう息子に問う。