これが私の王子様
それについて和人は「別に、言わなくてもいいじゃないか」と反論するが、どこか恥ずかしそうにしている。
そんな息子の言動に雅之はフッと笑うと、息子がどういう体質か話しはじめた。
和人は所謂「痩せの大食い」体質。
その証拠に、大量の食事を取っていても、体重の変動は殆どない。
それは異性に羨ましがられる体質だが、結果的にいつも食べ過ぎになってしまう。
またその他に、友人二人と街に繰り出しては「大食いツアー」ならぬモノを行っているという。
「大食いツアー?」
「息子は、店側が指定した料理を時間内に食すると、賞金を貰えるというやつに参加している」
「俺としては、沢山食べられて満足している。薫と直樹は賞金山分けで、毎回喜んでいるよ」
「一部の店は、賞金メニューの注文禁止と聞いている」
「あれは、店側が勝手に……」
「お前に毎回持って行かれ、破綻寸前なんだろう」
賞金を設ける場合、大抵は尋常ではない量のメニューが選ばれる。
店側としては客引きの目的の他に、そう簡単に賞金を持って行かれたくない――という心情が、見え隠れしている。