これが私の王子様
しかし、和人は違う。
必ずといっていいほど、賞金を持ち帰る。
その結果、和人の顔は知れ渡り、賞金メニューを注文することを禁止されている。
だから態々隣町まで行って、賞金メニューに挑戦する始末。
勿論、そのことは雅之の耳に届いている。
「全く、お前という奴は……」
「だって、腹が減るから……」
そんな親子のやり取りが面白かったのだろう、ゆかは思わず吹き出し、クスクスと笑ってしまう。
ゆかに吹き出されたことに和人は明後日の方向を向くと、照れを隠すかのように頭を掻く。
息子の反応に、雅之は何かを思い付く。
当初はあれこれと質問し、水沢ゆかという人物を観察しようとしていたが、もっといい方法が存在した。
それはゆかに料理を作ってもらい、それを食べている息子を観察すればいいというもの。
和人は、食べることが大好き。
そんな和人を満足させられるか。
そうと決まれば、後は行動のみ。