これが私の王子様
第四章 評価、そして――
和人の案内……というか、背負われゆかは連れて行かれる。
到着した場所は、隅々まで掃除が行き届いたキッチン。
普段ゆかが使用しているキッチンとは違い、この家はITを使用していた。
「ゆ、結城君」
「何?」
「お、下ろして……」
「ああ、そうだね」
和人はゆかを下ろすと、隅に置かれていた買い物袋を持って来る。
これは先程ゆかがスーパーで購入した材料が入っており、これを和人から受け取ると、テーブルの上にひとつひとつ置いていく。
ゆかの行動を観察する和人。
それは興味本位で眺めているのだが、ゆかにしてみたら堪らない。
見られていることによって緊張感が増したのだろう、置く途中で材料をテーブルの上に落としそうになってしまう。
「……見ないで下さい」
「どうして?」
「は、恥ずかしく」
「別に、いいじゃないか」