これが私の王子様

「ま、まあ……」

「すみません。気付かなくて……」

「いや、俺の食欲が……」

「何か、食べ物はありますか?」

「ああ、食パンがある」

 冷蔵庫を開けば、まだ開けていない食パンが入っていた。

 それを焼いて食べれば、暫く空腹がまぬがれると、冷蔵庫から取り出す。

 オーブンで焼いてバターを塗れば、美味しく食べることができる。

 そうゆかに説明すると、和人は食パンを二枚オーブンの中に入れ、タイマーをセットする。

「焼けても、すぐに食べないで下さい」

「どうして?」

「焼いたパンの上に目玉焼きを乗せると、美味しく食べられます。結城君は固焼きと半熟、どちらがいいですか?」

「半熟で」

 和人の好みに、ゆかは力強く頷き返す。

 今まで注文の料理を作っていたが、急遽半熟の目玉焼きを作りはじめる。

 ゆかの新しい料理に、和人の心が躍る。

 それは簡単な料理であったが、和人にとっては待ち遠しい。
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