これが私の王子様

「ご、御免」

「いつもと、逆ですね」

「逆?」

「いつもは、私が謝っています」

「ああ、そうだね」

 そう言い、互いに笑い合う。

 和人はゆかが差し出した皿を受け取ると、ボリボリと生の野菜を食べる。

 野菜独特の苦みがあったが、これはこれで美味しい。

 これまたあっという間に平らげると、ゆかに皿を返す。

「有難う」

「いえ」

「ひとつ、お願いしていいかな?」

「はい」

「できたら、早く……」

 和人の頼みに、ゆかは一瞬目を丸くする。しかし和人の食欲の高さを知った今、快く了承する。

 調理の速度が速まる。

 と、同時に和人の胸が躍る。
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