これが私の王子様

 まだかな。

 まだかな。

 そう思いつつ待っていると、次々とテーブルの上に完成品が並べられていく。

 今すぐにこれらの料理を胃袋に納めたいが、ゆかが食べていいと言わないので、ここがグッと我慢する。

「できました」

「う、美味そう」

 ゆかの言葉に和人は椅子から腰を上げると、いそいそとテーブルの側に駆け寄る。

 そして箸を取り食べそうになるが、父親との約束を思い出す。

 和人は一旦テーブルに箸を置くと、父親を呼びに行く。

「ほお、凄いな」

 これが、雅之の第一声。

 まさかこれほどの料理を短時間で作るとは思ってもみなかったのだろう、雅之は驚きを隠せない。

 雅之に褒められたことにゆかは恥ずかしくなってしまったのか、思わず俯いてしまう。

 ゆかの変化に気付いていない和人は椅子に腰を下ろすと、箸を握る。

 そして「いただきます」という言葉と共に、料理に手を付ける。

 勿論、味は最高で、味付けも和人好みであった。
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