これが私の王子様
正直、祖母の料理より美味しい。
ひとつひとつの料理を「味わう」というより「かっ込む」という言葉が似合う、和人の食べ方。
見た目は「上品」からかけ離れているが、このように食べてくれるのは美味しい証拠。
「食うな」
「腹、減っていたし」
そう言いつつ、味噌汁を飲み干す。
更に具材を一気に口の中に入れると、何度か咀嚼し、胃袋に落とす。
この姿を見ていると、和人が「御曹司」ということを忘れてしまう。
まるで、腹を空かせた体育大学の学生だ。
「美味いか?」
「最高」
「だそうだ」
和人が嘘を付く人物ではないと知っているので、彼の素直な感想にゆかの顔が紅潮してしまう。
息子とゆかの反応に、雅之の表情が緩む。
「水沢さん」
「は、はい」