これが私の王子様
「水沢さん?」
「えっ!?」
「おかわり」
「い、今すぐに……」
慌てて茶碗を受け取ると、ご飯を山のよう盛り、和人に差し出す。
茶碗を受け取った和人は熱々のご飯を口に運びつつ、おかずを箸で摘まむ。
その間ゆかは、和人の食べっぷりを眺めていた。
しかし、考えていることは違う。
雅之は、何を言いたかったのか。
ゆかは、その点が気になってしまう。
いい印象を抱いてくれたのか、それとも――
目の前から雅之が立ち去ったというのに、ゆかの緊張は続いている。
それに、口の中が乾く。
何とも表現し難い状況を振り払おうと、ゆかは和人からの注文「デザート」を作りに向かう。
ゆかほどの腕前だったら手の込んだ菓子を作ることが可能だが、和人を待たせてはいけないと簡単なデザートにする。
ドライフルーツのヨーグルトかけ。
という、何とも簡単なデザート。