これが私の王子様

 それでも和人は満足し、これもあっという間に食べてしまう。

 そして全てを綺麗に平らげると、胸の前で両手を合わせると「ごちそうさま」と、作ってくれたゆかに感謝の気持ちを示す。

「い、いえ」

「こんなに満足したのは、久し振り」

「今、お茶を用意します」

「濃い目で」

「は、はい」

 水を沸かし、お茶を淹れる。

 勿論、注文通り濃い目のお茶。

 湯呑を片手に、お茶を味わう。

 料理共々、お茶の淹れ方も和人の好みにピッタリで、気持ちがいい。

「水沢さんって……」

「はい?」

「超能力者?」

 言っている意味がわからず、ゆかは思わず首を傾げてしまう。

 彼女にしてみたら、普通に料理を作って、普通にお茶を淹れた。

 それにゆかは超能力者でもなく、普通の女子高生である。
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