これが私の王子様

 たまたま、好みが一致した。

 と、ゆかは説明するが、和人にしてみればこの「好みの一致」は、大きい。

 尚且つ、彼女は料理を作るのが上手い。

 それに和人が知っている異性と大幅に違うのだから、まさに天が導き合わせた人物といっていい。

「ところで、水沢さん」

「なんですか?」

「土日って、暇?」

「詩織から誘われなければ、暇……ですが」

「暇だったら、頼みが……」

 と言い掛けるが、途中で言葉が止まってしまう。

 その先を言うのが恥ずかしかったのだろう、途中で声音が徐々に小さくなってしまう。

 ゆかは、最後まで聞き取ることができない。

 だから失礼とわかっていたが、思わず聞き返してしまう。

「だから、頼みが……」

「頼み……ですか」

「もし、よかったら……」

 また、言葉が止まってしまう。
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