これが私の王子様

 ゆかの性格を考えると、決して悪いことはしない。

 しかしこれほど束縛するということは、娘を信頼していない証拠。

 真逆の父親に和人は「とんでもない親を持って、可哀想」と、心の中で呟く。

「なら、土日の料理は駄目かな?」

「……多分」

「夕方前に、帰ってもらうけど」

「男の人のマンションに行く時点で……」

「そうか」

 なら、どうすればいいか。

 と、和人は考える。

 暫くお茶を飲みつつ、ゆかの父親をどのように説得すればいいか悩む。

 このままでは、ゆか自身の幸せを奪う要因となってしまう。

 「学生のうちは」と言っているが、本当にそうなのだろうか。

 就職したらしたで、何か別のことを言うかもしれない。

 一番考えられるのは「まだ若いから早い」と言い、結婚するどころか恋人を作ることさえも許してくれないだろう。

 そのような困った父親から、大人しく気の優しいゆかが誕生したのは、ある意味奇跡といっていい。
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