これが私の王子様

 本当は側で例の王子様を見たいゆかであったが、女子生徒達が放つ凄まじいまでのオーラに圧倒されてしまう。

 このままでは、押し潰されてしまう。

 命の危機に近いモノを感じ取ったゆかは、人垣の一番後ろから眺めることにする。

 一方詩織はこの状況に慣れているのか、人垣を掻き分けながら前方まで進み、三人に声を掛ける。

 詩織との距離は近かったが、黄色い悲鳴によって何を話しているのか上手く聞き取ることができない。

 すると何か約束ごとをしたのか、三人が頷き返し詩織がガッツポーズを作る。

(どうしたのかしら)

 やはり、ゆかは状況が掴めなかった。

 三人と別れた後、詩織が戻って来る。

 と同時に、人垣も流れていく。

「約束を取り付けたわ」

「何を?」

「昼食よ」

「一緒に食べるの?」

「勿論」


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