これが私の王子様

 といって、いい方法が思い付かない。

 それにこういう父親ほど、厄介な者はいない。

 それなら薫と直樹、詩織に相談すればいいだろう。

 三人から意見を求めれば、その中からいい方法が見付かるかもしれない。

 ふと、和人の耳に足音が届く。

 和人の前に現れたのは「仕事」と言って立ち去った父親で、何やら大型の箱を持っている。

「これを使え」

「何?」

「全自動掃除機だ」

「おお!」

 父親からの意外な贈り物に、和人は驚く。

 日頃「面倒」ということで掃除を行わないが、これがあれば勝手に掃除を行ってくれるので便利。

 和人は父親から箱を受け取ると、いい物を貰ったと、目を輝かせながら子供っぽく笑う。

 雅之は、何気なくテーブルに視線を落とす。

 見れば全ての食器は空となっており、どれも綺麗に食べてあった。

 更にお茶まで淹れてもらっているのだから、寛いでいる証拠である。
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