これが私の王子様
流石に二回も言われているので、信用しないわけにはいかない。
それに今まで権力を行使して、大事に発展したことはない。
「信用しないのか?」
「そこまで言うのなら……」
「任せておけ」
そう言い、雅之は息子の肩を叩く。
和人は、ゆかを一瞥する。
すると、心配そうにこちらを見ているゆかに気付く。
「ほら、行ってやれ」
「う、うん」
「後で、彼女は自宅まで送ろう。それまでは、ゆっくりと話すといい。こういう機会は、ないだろう」
「確かに……」
学校では周囲の目が気になるので、ゆかとゆっくりと話したことはない。
もし話している現場を目撃されたら、女子生徒から何を言われるか。
最悪、ゆかが攻撃の対象となってしまう。
それだけ彼女達の執着は、半端ない。
だからこういう機会は、和人にとっては貴重といっていい。