これが私の王子様
長く喋り続けたことによって、ゆかが疲れてしまう。
見兼ねた和人は、今度は彼女の代わりにお茶を淹れに行く。
「どうぞ」
「あ、有難うございます」
「面白かった」
「……喋り過ぎました」
「そんなことはないよ。水沢さんがどういうモノが好きなのか、わかったし。読書好きって、いいことだよ」
「結城君は、読書するのですか?」
「本は、読むよ。いつか父さんの跡を継がないといけないから、そういう方面の本は読んでいる。だから、ファンタジーの小説は読んだことなくて、水沢さんのオススメがいい切っ掛けになればいいと思う」
「沢山ありますので、読んで下さい!」
ゆかの言葉に、和人は頷く。
もしゆかに出会っていなければ、和人はファンタジー小説に興味を抱くことはなかった。
また、異性に対してもいい印象を抱いていなかった。
和人の考えに変化を齎したゆかは、偉大である。