これが私の王子様

 お茶を飲み一服した後、再び小説について話を進める。

 もし、現実として存在していたら。

 自分は、どうしたいか。

 等々、空想を絡める。

 これもまた、ゆかの意外な一面。

 これにより和人は、自分が聞き上手な面を持っていることに気付く。

 いや、聞き上手というより、ゆかの話が楽しいから、聞いていられるのだろう。

 現に言い寄って来る者達の会話など、聞きたくもない。

 気が合うのか。

 それとも――

 ゆかの話を聞きつつ、ぼんやりと考える。

 暫くこの時間が続けばいいと願うが、ゆかを長時間拘束しておくわけにもいかない。

 それならと車に一緒に乗り、ついて行く。

 流石に彼女の自宅の前で停車させるわけにはいかないので、少し離れた場所に停車させる。

 ゆかが下車すると同時に和人は後部座席の窓を開け、無理難題を聞き入れてくれて「有難う」と、感謝する。

「こ、こちらこそ」
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