これが私の王子様

(し、詩織にメールをしないと)

 このことを事前に詩織に知らせているので、どのようなことがあったか知らせないといけない。

 鞄から携帯電話を取出しメールを打とうとするが、手が震えるらしく上手く打つことができない。

(お、落ち着いて)

 と、言い聞かせるが震えは止まらない。

 それは仕方がないことで、あれだけの体験をしたのだから。

 ゆかはいつまでもこの場にいられないと、自宅へと急ぐ。

 「ただいま」という声に応えたのは母親で、父親は今出掛けているので家にはいないという。

 二階へ上がり寝室に入るとベッドの上に鞄を置き、その後自分もベッドの上に腰を下ろした。

 少し気分が落ち着いたのだろう、手の震えが止まっている。

 これならメールを作成できると、今日の出来事を文章にしていく。

 勿論、小説の件も付け加えて。

(送信っと)

 ポンっとボタンを押し、詩織からの返信を待つ。
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