これが私の王子様

 詩織からのメールに、ゆかは考える。

 このメールからすると、和人の頼みを聞き入れた方がいい。

 しかし――

 父親の反応が困る。

 そのことについて、再度メールを送信する。

 これについて詩織からの返信は、素早かった。


 私の名前を使っていいわ。


 それが、詩織の回答。

 男の人のマンションへ行くとなると、父親から何を言われるかわかったものではない。

 だが「詩織と一緒に遊びに――」と言えば、何も言われないだろう。

 それに詩織は口が上手いので、言い訳も手慣れている。

 協力的な詩織に、ゆかは感謝しきれない。
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