これが私の王子様
「お、お勉強しに……」
この場に居辛くなったのか、ゆかは適当なことを言って誤魔化し、逃げ去るように二階へ上がっていく。
いつもとは違うゆかに両親は首を傾げてしまうが、深く追及することはしない。
二階へ戻ったゆかは、部屋に閉じ籠る。
あの時、多くの買い物客に見られていたが、まさか噂が母親までいくとは思ってもみなかったらしく、動揺が続く。
幸い、両親に気付かれてはいない。
その部分だけ、安心できた。
(このことも、詩織にメールをした方がいいかしら)
一応、何かがあったらメールをしてほしいと言われているので、これについてもメールを送信することにする。
すると、これにメールに関してもすぐに送信があった。
それ、私も知っている。
という返信メールに、例のスーパーに高級車が乗り付け――という件は、相当広がっているらしい。