これが私の王子様

 詩織の情報収集能力は半端ないが、といって口が軽いわけではない。

 だから、下手に学校に広がることはないだろう。

 もし一気に広がってしまったら、学校へ行くことができなくなってしまう。

 特に、彼女達が怖い。

 刹那、ゆかの身体が震える。

 ふと、再び詩織からのメールを受信する。

 その内容というのは「メールを打つのが大変なので、直接電話をしていいか?」というもの。

 勿論、断る理由が見当たらないので「いいよ」と返信すると、すぐに携帯電話が鳴りだす。

「もしもし」

『困ったね』

「ど、どうしよう」

『黙っていれば、わからないわ』

「……うん」

『それより、結城君が気に入ってくれたのでしょう? 私として、そっちの方が重要じゃない』

「土日のことだけど、詩織と一緒に買い物に行く……って言っちゃったけど、よかったかしら」
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