これが私の王子様

『それでゆかが行けるのなら、気にしないわ。私も聞かれたらいけないから、言い訳を考えないと』

 特に異論を唱えることなく、詩織は普通に受け入れてくれた。これもまた、陰ながら応援している証拠。

 それに、ゆかから父親に生活面を縛られていることを聞いているので、手助けをしたかった。

 詩織の父親はそれほど厳しいわけではなく、どちらかといえば詩織に自由を与えてくれた。

 成績がいまいちなので、バイトをせずに勉強に集中しろと言われているが、といって門限が極端に早いわけではない。

 だから極端に門限が早いゆかに対し、同情心の方が強かった。

 勿論、他にも理由が存在し、和人に色目を使って自分を売り込んでいる同性に辟易していたからだ。

 ハッキリいって、みっともない。

 それが、詩織の感想。

 詩織はその性格から交友関係は広いが、それは表面上の付き合い。

 本当の意味での「友達」は、ゆかといっていい。

 ある意味、和人が真の友と呼ぶ薫と直樹の存在に等しかった。

 そのようなことも関係し、あれこれと手を貸す。

 それに手を貸すこと自体、詩織も楽しんでいた。
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