これが私の王子様

『ねえ、ゆか』

「何?」

『ゆかって、結城君って好き?』

「えっ!」

 それに対しゆかは、何も言えなくなってしまう。

 自分ではあまり意識していなかったが、そのように言われると急に意識してしまう。

 その証拠にゆかの顔は一気に紅潮し、熱いくらいだった。

『ゆか?』

「わ、私は……」

『嫌い?』

「嫌いじゃ……」

 嫌いということはなく、寧ろ一緒にいて面白い。

 最初は「御曹司」ということで、一歩引いていた。

 暮らしている世界が違うので、あらゆる面が違うと考えていたが、いざ二人っきりで話してみると、自分達と何ら変わらない。

 それどころか、大食いで賞金を貰っている。

 これについて詩織は知っているのかと、尋ねてみる。

 ゆかからの質問に詩織は、電話口で大笑いすると「知っているわよ」と言い、更に「人は見かけによらず」というのは、和人の為にあると話す。
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