これが私の王子様

『いいのいいの』

 詩織は大笑いしながら、通話を切る。

 耳の奥まで響き渡る大笑いに驚くゆかであったが、彼女の明るさが救いになっているといっていい。

 携帯電話を机の上に置くと、椅子に腰掛け鞄から教科書とノートを取り出す。

 予習は苦手だが、復習はできないこともない。

 シャーペンを握り締めると、ノートの上に文字を書いていく。

 夕食が出来上がり、母親に呼ばれるまで――
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