これが私の王子様
「そもそも、どういう理由で水沢さんを呼んだんだ? まさか、料理を作ってもらうだけじゃ……」
「父さんが、会いたがっていた」
「親父さんが?」
「何でも、水沢さんがどういう人物か知りたがっていた。そして、気に入ったら婚約って……」
「婚約!?」
刹那、薫と直樹の絶叫が響く。
勿論、周囲にいた者達の耳にも届いてしまい、特に女子生徒達が「婚約」の二文字に反応する。
「結城君、誰かと婚約したの?」
「そんなの嫌よ」
「駄目よ、そんなの絶対に」
「許さない」
「どこの誰よ」
と、詰め寄って来る。
彼女達の目は鬼気迫る物があり、和人だけではなく薫と直樹も身の危険を感じてしまう。
もし本当に和人に婚約者がいたら、その者を抹殺しかねない勢いがある。
すると何を思ったのか、互いに喧嘩しだす。