これが私の王子様

 だが、少女もマラソン――というか体育全般が苦手だったので、二人の気持ちは理解できる。

 確か記憶が正しければ、二人の制服のリボンは緑色。

 そう、少女と同じ学年だ。

 もし同じクラスとなった場合、体育――それも、苦手としているマラソンをしないといけない。

 転校当日からのマラソンに動揺を隠しれないのか、徐々に少女の顔色が悪くなっていく。

 同時に、気分も落ち込んでくる。

「どうしたの?」

 その場で立ち尽くしていると、誰かがそのように声を掛けてきた。

 反射的に振り返れば、少女の目の前にいたのは同じ制服を着たショートヘアーの女の子。首を傾げながら「具合が悪いの」と聞き、心配してくる。

「あ、あの……」

「うちの生徒のようだけど、見掛けない顔ね」

「転校して、今日から……」

「そういえば、担任がうちの学年に転校生が来るって言っていたけど……ふーん、貴女だったのね」

「よろしくお願いします」
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