これが私の王子様
「何、改まっているの。同学年ってことは、同じ年齢でしょ? 敬語なんて使わなくていいわよ」
姉御肌と呼べる女子生徒の迫力に、少女はタジタジになってしまう。
しかし一人での登校に不安を抱いていた少女にとって、彼女はまさに天の助けといってもいい心強い存在だった。
「で、名前は?」
「水沢(みずさわ)ゆかです」
「私は、菅生詩織(すごうしおり)。よろしくね」
「は、はい」
「もう、緊張しない」
「……すみません」
「だから、敬語はいいって」
しかし、根が真面目なゆかにとって「敬語はいい」と言われても、初対面の相手についつい敬語を使ってしまう。
また緊張しているのか、どこかオドオドとし、全く落ち着かない。
ゆかの反応が面白かったのは詩織と名乗った女子高生は大笑いすると、折角出会ったのだから一緒に学校へ行かないか誘う。
詩織の誘いにゆかは「行きます」と言い掛けるも、慌てて言い方を訂正する。