これが私の王子様

 上品とは無縁の食べ方に、ゆかは目を丸くする。

 一方、ゆかからそのように見られているとは思わない和人は、瞬く間のうちにおむすびを食べてしまい、二つ目のおむすびの袋を開ける。

 その時、やっと見られていることに気付いた和人は「何?」と言いながら、おむすびを齧る。

「い、いえ」

「食べたい?」

「家に帰れば、夕ご飯が……」

「そうか、便利でいいな」

「便利って、結城君はご飯がないのですか?」

「俺、一人暮らし」

 話を聞けば実家からでは学校が遠いので、現在マンションで一人暮らししているという。

 一人暮らしをしているのだから、家事全般が得意と思ったのだろう――そう勝手に解釈したゆかは、どのような料理が得意なのか尋ねるが、地雷を踏んでしまったのか和人はいい顔をしない。

「料理は苦手だ」

「今、一人暮らしと……」

「普段は、出来合いの物」
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