これが私の王子様

「い、行くわ」

「そう、その言い方!」

 ゆかが敬語を使わず、崩した言い方をしたことに詩織は顔を綻ばす。

 一方ゆかは学校に行くことに緊張していたが、詩織と出会ったことによって徐々に緊張が解れたのか、笑顔を作る。

「わからないことがあったら、私に聞いて」

「うん」

「こう見えて、情報通よ」

「情報通?」

「そう、主に学校での秘密ね。誰と誰が付き合っていて、誰が何をして教師に怒られたとか……勿論、教師の噂話も知っているわよ。こういう話って、面白くて集めるのを止められないのよ」

 口許を手で隠しながらクスクスと笑う詩織に、ゆかは登校初日から随分面白い生徒に出会ったと思う。

 しかし下手に堅苦しい人物より、このような人物の方が何倍も一緒にいて楽しい。

 ふと、ゆかは詩織がどのような情報を持っているのか気になったのか、学校で一番頭がいい生徒のことを尋ねる。

「それは勿論、彼ね」

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