これが私の王子様
一陣の風が、ゆかの髪や制服を揺らす。
そして電車が停車し、多くの人が下車する。
下車する人達の邪魔にならないように避けつつ、電車に乗り空いている席に腰を下ろした。
電車が走っている最中、ゆかはクッキーについて考えていたが、あれこれと気にするよりいつものように作ればいいと結論に至る。
彼女はクッキーを何度も作っているので、決し難しい菓子ではない。それなら、無理をせず普通に作った方が美味しいクッキーを作ることができる。
そう自分に言い聞かせると、周囲に気付かれないように気合を入れ、不安な心を励ました。