これが私の王子様
第二章 選択
翌日。
学校では、ゆかが和人と一緒に帰宅した話題で持ち切りであった。
一部の生徒からは「転校生に――」と嫉妬心たっぷりの視線を向けられ、毒がたっぷり含まれた言葉を投げ掛けられる。
しかし、特に進展がなかったことを知ると、あれだけ酷かった攻撃は一気に終息する。
一方的に向けられた敵意にゆかは怯えるも、詩織が側にいてくれたことで強い安心感もあった。
「大丈夫?」
「うん」
「そういう行為が、結城君に嫌われるって気付かないのかしら。ほんと、女同士って怖いわ」
「し、詩織」
「本当のことじゃない」
詩織の指摘に、ゆかは何も言えない。
それでも、彼女の意見は一理ある。
昨日の話で、和人は学校の女子生徒の大半を毛嫌いしていた。一方的に盛り上がり「王子様」と、呼ぶ。
また同性同士で牽制し合い、一緒に帰宅した者に総攻撃を掛ける。これだけのことを経験すれば「好意」どころか「嫌悪感」の方が強まってしまうのも、ある意味仕方ない。