これが私の王子様
「彼?」
「王子様」
「王子様!?」
「と、女子生徒に呼ばれている」
「でも、王子様って……」
「私は普通に苗字で呼んでいるけど、あれだけのスペックを持っているのだから、そう呼ばれても仕方ないのかも」
納得できる部分が多岐に渡るらしく、詩織は腕を組むとうんうんと頷く。
説明を受けたゆかはいまだに信じられないらしく、どこか動揺を隠し切れずにいた。また、あれこれと想像を巡らす。
「同じ学年よ」
「会える、かしら」
「紹介してあげる」
「で、でも……」
「大丈夫よ」
そう言うと詩織はゆかの手首を掴み、引っ張っていく。
突然引っ張られたことにゆかはか細い悲鳴を上げ倒れそうになってしまうも、なんとか態勢を安定させ詩織に引っ張られながら学校へ向かう。