これが私の王子様
今回のテストも一応最後まで回答を書くことができたが、それが正しい回答かどうかわからない。
どちらかといえば自信がなく、転校してきて早々赤点のテスト用紙を見る可能性も出てきた。
ゆかもまた、心の中で溜息を付く。
「お前達、いつまでへこんでいる。もう終わったのだから、諦めろ。残りの時間、この前の復習を行うから、最後まで気を抜くな。その前にテスト用紙を回収するから、後ろか順番に前に回すように」
教室中に、教師の声音が響く。
その言葉に従うかたちで、一番後ろの生徒が前に向かってテスト用紙を順番に回していく。
そして全てのテスト用紙を数学教師が回収すると、教壇の上に置き教科書を開く。生徒達も同じように教科書とノートを机の上で開くと、筆箱からシャーペンを取出し準備を完了させる。
ゆかは詩織に教科書を見せて貰う為に机をくっ付けるが、先程のテストをいまだに引き摺っている詩織は、いつもの元気がない。
ゆかは詩織の身体を揺さぶると、授業がはじまったことを教える。