これが私の王子様
それに今、ゆかしか頼る人物はいない。詩織は説明を受けながら、何とか生地を作成し型を取るところまでこぎ着けた。
一通り説明をし終えたゆかは横で、手早く生地を作成し型を取りはじめる。
二人が作ったのは、プレーンクッキとココアクッキー。後はオーブンを指定の温度まで上げ、焼けば完成。
数学のテスト以上に体力を消耗したのか、額に滲む汗を拭うと、詩織はゆかに感謝するのだった。
「お疲れ様」
「クッキーでこれだけ苦労するのだから、他の料理なんて無理ね。それを作るゆかって、凄いわ」
「そんなことないわ。レシピを覚えれば、普通に作ることができるし。それに今は、便利な調理器具も売っているもの」
「もし作るとしたら、何がいいかしら」
「和食の定番、肉じゃがとか」
「に、煮物」
「嫌いなの?」
「肉じゃがは、好きよ。ただ、煮物って難しいイメージがあって……ほら、調味料の分量とか……」