これが私の王子様

「女をお飾りか道具としか見ていないのよ、そういう奴等って。だから馬鹿男の意見なんて、気にしちゃ駄目。もっとゆかのことを想って大事にしてくれる相手が、きっと現れるわ」

「いるかしら」

「いるわよ。どこかで、運命の赤い糸で結ばれている殿方が。もし見付かったら、紹介してね」

 詩織の気遣いと優しい言葉の数々に、ゆかの心の中に温かいモノが広がっていく。

 以前の学校の時も友人と呼べる人物はいたが、これほど親身になってあれこれと言ってくれたのは詩織がはじめて。

 信頼できる。

 また、本当の意味での友人。

 そう、ゆかは思えた。

 しかし、詩織に「運命の赤い糸」と言われても、ゆかはそれに対し何と答えていいか迷ってしまう。

 ゆかは殆ど恋愛経験がなく、今まで特定の誰かに好意を抱いたことはなかった。奥手といってしまえばそれまでだが、どちらかといえば恋愛をするのが怖い。

 それに過去に言われたことがゆかの心に傷を受け、それが原因となって一歩前に踏み出すことができないでいた。
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