これが私の王子様

 包装用の袋やリボンは学校側が用意してあるので、これらを用いて好みのラッピングを行う。

 ゆかは、オレンジ色のリボン。

 詩織は、緑色のリボン。

 それぞれが半透明の袋に入れ、リボンをアクセントとする。

 ラッピングは個性が出やすいので、他の生徒のラッピングを眺めているとこれはこれで面白い。

「これで、不味いって言われなくて済むわ」

「誰かに言われたの?」

「大久保君と七瀬君」

「食べさせたの!?」

 どのような感想を貰えるかと、好奇心半分で二人に食べさせたのだが、結果は散々なもの。
「不味い」は勿論のこと、食べた瞬間顔面蒼白になってしまう。

 吐き出すまでにはいかなかったが、大騒ぎになったのは悪い思い出――と詩織は語り、ゆかから反射的に視線を逸らす。

「だから今回は、挽回よ! ゆかに最初から教えて貰ったのだから、不味いわけがないもの」
 
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