これが私の王子様
流石にこれ以上何を言っても無駄と判断したのか、薫は和人に肩を竦めて見せる。薫に代わって次に口を開いたのは直樹で、現在の状況を的確に表した言葉を彼女達に言い放った。
和人を空腹の状態で、午後の授業を受けさすのか。
流石にこの言葉によって、自分達が和人にどれだけ迷惑を掛けていたのか気付いたらしく、女子生徒達は申し訳なさそうに立ち去っていく。
やっと解放されたことに和人は盛大な溜息を付くと、女子生徒達を追い払ってくれた直樹に感謝し、殆ど冷えてしまった食事に手を付ける。
「災難だな」
「まるで、台風だよ」
「というか、竜巻かも」
「全てを薙ぎ倒す……か」
好意は有難いが、いかんせんやり方が鬱陶しい。それに彼女達の感情の裏側が見え隠れしているので、拒否反応しかない。
将来、玉の輿。
和人と付き合い、そのまま結婚にこぎ着ければ将来は安泰。有り余る金を自由に使え、好き勝手にすることができる。
どちらかといえば彼女達は和人を好きというより、それに付属しているモノが好きなのだ。だからこそあのように熱を上げ、必死にアピールを繰り返す。