これが私の王子様
第一章 新生活
学校に到着し、詩織の案内でゆかが向かったのは職員室。
教師側もゆかの到着を待っていたのだろう、温かく迎えてくれた。
何をしていいかわからずオドオドとしているゆかの前に、教師になりたての初々しい女性が一人やって来る。
そして手に持っていた名簿を開くと、転校生であるゆかの名前を探す。
「名前は、水沢ゆか……でいいかしら」
「はい」
「私が貴女のクラスの担任になる、西條明美(さいじょうあけみ)。最初は慣れないと思うけど、気張らないこが一番かしら」
「よろしくお願いします」
緊張しているらしく、ゆかの言葉はどこかたどたどしい。一方、明美の説明を聞いた詩織は、喜びを爆発させる。
そう、明美は詩織のクラスの担任だった。
「じゃあ、一緒!?」
「そうなのよ!」
「嬉しい」
「私も、嬉しい」
「違うクラスじゃなくて、よかった」